ズレの哲学|誤解・摩擦を成果に変える方法
2025.11.11
育成・研修営業現場で最も多いのは「ズレ」です。
伝えたつもりなのに伝わっていない。
顧客が望んでいると思ったら、実は違っていた。
商談が盛り上がったのに、契約につながらない──。
50万件の営業音声を振り返ると、成果を阻む最大の要因は“ズレ”であることが明らかになりました。
しかし同時に、ズレを適切に扱う営業は、それを突破口に変えていました。
1. ズレが生まれる典型例
例1|言葉の定義のズレ
顧客:「スピード感のある対応が欲しい」
営業マンA:「即日納品します!」
顧客の意味は「社内調整をスムーズに進めたい」だった。
→ 顧客は「分かっていない」と感じ、失注。
例2|目的のズレ
顧客:「コスト削減が目的です」
営業マンB:「では最安プランを」
実は顧客の真意は「コスト削減を通じて別の予算を確保したい」だった。
→ Bの提案は的外れとなり、競合に奪われた。
2. ズレをチャンスに変えた例
例3|誤解を正す勇気
営業マンC:「今のお話、私の理解が正しいか確認させていただけますか?」
顧客:「実は少し違って…」
→ 誤解を解くことで深い信頼が生まれ、契約成立。
例4|摩擦から新たな価値を生む
顧客:「そのやり方ではうまくいかないと思います」
営業マンD:「なるほど。では御社に合う方法を一緒に探しませんか?」
→ 対立が共同作業に変わり、強固なパートナー関係が生まれた。
3. 相性とズレの関係
相性が合えば、多少のズレも「会話のスパイス」としてポジティブに作用します。
逆に相性が悪ければ、小さなズレが「決定的な不信感」につながります。
- スピード型の顧客には、テンポを合わせないと「遅い人」と誤解される。
- 慎重型の顧客には、急かすと「強引な人」と誤解される。
ズレを恐れるのではなく、相性を調整しながら誤解を解消することが鍵となります。
4. 実践ポイント
- 1.確認の習慣を持つ:「私の理解は正しいですか?」を必ず挟む。
- 2.ズレを恐れず表面化させる:隠すより、早く気づいた方が信頼につながる。
- 3.摩擦を共同作業に変える:「一緒に解決しましょう」と提案する。
- 4.相性を意識する:顧客タイプごとの誤解の起きやすさを把握する。
まとめ
ズレは営業において避けられない現象です。
大切なのは、ズレを「失敗」にするか「成長の契機」にするか。
50万件の音声が教えてくれるのは、ズレは信頼を深めるチャンスになり得るということ。
誤解を恐れず、摩擦を前向きに活かす姿勢が、成果への道を切り開きます。
次の商談で、あなたは「ズレを隠す営業」になりますか?
それとも「ズレを活かす営業」になりますか?