営業における相性とは何か
2025.11.24
育成・研修営業において「相性が合う・合わない」という言葉は、誰もが一度は口にしたことがあるでしょう。
しかし、それを深く掘り下げて考えたことはありますか?
50万件の営業音声を解析すると、成果の大小を決定づける要素のひとつが「相性」であることが明らかになりました。
商品力や価格だけでは説明できない「成約の差」。その背景にあるのが、人と人の「相性」という見えない要因です。
1. 相性の正体とは?
相性とは、単なる「気が合う・合わない」ではありません。
営業における相性は、次の3つの要素が重なり合って生まれます。
- 1. 価値観の一致度:物事の優先順位や判断基準が近いかどうか。
- 2. コミュニケーションのスタイル:話すスピード、説明の深さ、感情の表現度。
- 3. タイミング:顧客が置かれている状況と営業の提案が噛み合うか。
これらが揃ったとき、顧客は「この人となら進めたい」と自然に思うのです。
2. 相性が成果に直結する場面
例1|初対面での印象形成
営業マンAは、顧客の話すスピードに合わせて会話。結果、短時間で信頼を獲得。
一方、営業マンBは自分のペースで一方的に話し、顧客は不快感。
例2|意思決定者との価値観の合致
「長期的な信頼」を重視する経営者に対し、営業マンCは「価格の安さ」ばかりを訴求。
→ 不一致が生じ、成約に至らず。
相性は、成約率を大きく左右する「隠れた変数」なのです。
3. 相性は「ズレ」から始まる
興味深いのは、相性の良し悪しは「ズレ」とセットで語れるという点です。
営業現場では、必ずどこかに「ズレ」が存在します。
- 話のテンポのズレ
- 興味関心のズレ
- 価値観のズレ
相性の良い営業マンは、このズレを敏感に察知し、調整する力を持っています。
4. 実践のポイント
営業を深く突き詰めると、人間のあらゆる側面が現れる。
- 1. 相性を「運任せ」にしない:測定・理解・調整が可能なものとして扱う。
- 2. 相性の観点で顧客分析を行う:商品や業界だけでなく「人」との相性を考慮。
- 3. ズレを修正する会話力を磨く:ペース、表現、価値観をすり合わせる。
まとめ
営業における「相性」とは、偶然ではなく「理解と調整」で成果に変えられる要因です。
50万件のデータが示しているのは、相性を意識できる営業は、顧客に「自然な信頼」を与え、成果を倍増させるという事実。
次回は──
「相性が成果を左右する理由」について掘り下げます。