営功社

説得ではなく納得|顧客が自ら決めたくなる瞬間

2025.11.15

育成・研修

営業マンがつい陥りがちなのが、「説得しよう」という姿勢です。
「この商品の良さを理解してもらわなければ」
「どうにか納得させなければ」

しかし、50万件の営業音声を解析すると、説得しようとした瞬間に顧客が心を閉ざすケースが数多く見られました。
一方で、顧客が自ら「なるほど、これなら導入しよう」と決断したケースは、営業が“納得のプロセス”を支援していました。

1. 説得で失敗する典型例

例1|論理で押し切る

営業マンA:「この製品は業界No.1のシェアです。導入しない理由はありません」
顧客:「そこまで言われると逆に引いてしまう」
→ 論理的に正しくても、強引さが不信を招いた。

例2|圧力をかける

営業マンB:「今決めないと損をしますよ」
顧客:「そんなに急かされても…」
→ 顧客は「自分で決めたいのに、操作されている」と感じて離脱。

2. 納得を生んだ成功例

例3|選択肢を提示する

営業マンC:「A案とB案、それぞれのメリットをご一緒に整理しましょう」
顧客:「比較して考えられるから安心できる」
→ 顧客が自ら選んだ感覚を持ち、導入に前向き。

例4|未来の姿を描かせる

営業マンD:「これを導入したとき、御社の現場はどう変わると思われますか?」
顧客:「作業が効率化して、人員も楽になりますね」
→ 顧客が自分の言葉で納得し、意思決定が進んだ。

例5|顧客の不安を言語化する

営業マンE:「正直なところ、不安な点はどこにありますか?」
顧客:「運用が複雑にならないか心配です」
→ 一緒に解決策を考え、不安が解消されて契約へ。

3. 説得と納得の違い

  • 説得:営業が主導、顧客は受け身。「やらされた感」が残る。
  • 納得:顧客が主導、営業は伴走。「自分で選んだ感」が残る。

営業に必要なのは「顧客が自ら納得するための舞台を整える力」です。

4. 相性とズレの観点

  • 論理型顧客に対して感情的に説得 → 「根拠がない」と不信感。
  • 感覚型顧客に数字だけで説得 → 「ピンと来ない」と拒否感。
  • スピード型顧客に選択肢を出しすぎる → 「面倒だ」と感じる。

納得を生むためには、顧客タイプに合わせて「どう考えたいか」のスタイルを尊重する必要があります。

5. 実践ポイント

  1. 1.選択肢を与える:「決めさせる」のではなく「選ばせる」。
  2. 2.未来のイメージを描かせる:顧客自身の言葉で「導入後」を語ってもらう。
  3. 3.不安を引き出す質問をする:「心配な点は何ですか?」で納得を深める。
  4. 4.営業は伴走者に徹する:主役は顧客、自分はナビゲーター。

まとめ

営業におけるゴールは「説得」ではありません。
50万件の音声が教えてくれるのは、顧客が自ら“納得”した瞬間にのみ契約は成立するということ。

次の商談で、あなたは「説得する人」になりますか?
それとも「納得を支援する人」になりますか?

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