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BtoB営業とは?BtoC営業との違いや手法・戦略を紹介

2025.06.02

近年のビジネス環境において、BtoB(Business to Business)営業の重要性がますます高まっています。企業間取引を専門とするBtoB営業は、個人消費者を対象とするBtoC営業とは異なる特性や手法が求められます。

本記事では、BtoB営業の基本的な定義から、BtoC営業との具体的な違い、効果的な営業手法や戦略まで詳しく解説します。法人営業に携わる方や、これからBtoB営業に挑戦したいと考えている方にとって、実務に活かせる知識やノウハウをお届けします。自社のビジネスモデルに最適な営業アプローチを見つけるヒントとしてご活用ください。

BtoB営業とは?基本から理解する企業間取引

BtoB営業とは、Business to Businessの略で、企業が他の企業に対して商品やサービスを提供するビジネスモデルにおける営業活動を指します。法人顧客を対象としており、取引規模が大きく、複数の決裁者が関わる複雑な意思決定プロセスが特徴です。

IT系のSaaSサービス、製造業における部品供給、人材サービス、オフィス機器販売、法人向け不動産など、様々な業界でBtoB営業が行われています。近年ではデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、営業スタイルにも大きな変化が生じています。

BtoB営業の特徴と基本要素

BtoB営業には、いくつかの重要な特徴があります。まず顧客となる企業には複数の関係者・決裁者が存在し、彼らの合意を得るプロセスが必要です。また、取引金額が比較的高額となるケースが多く、長期的な関係構築を重視
する点が大きな特徴となります
。さらに商談の検討期間も長く、数ヶ月から場合によっては1年以上にわたることもあります。

BtoB営業では、顧客企業の業務課題や経営課題を深く理解し、それに対するソリューションを提案することが求められます。単なる商品販売ではなく、顧客にとっての価値創造を目指す提案型の営業アプローチが主流となっています。

代表的なBtoB営業の事例と業界

BtoB営業は様々な業界で見られますが、代表的な事例をいくつか紹介します。ITサービス業界では、業務効率化やコスト削減を実現するクラウドサービスやSaaSの提供が挙げられます。提供側は顧客企業の業務プロセスを理解し、最適なソリューションを提案する必要があります。

また製造業では、部品やモジュールの供給、OEM生産などの取引が行われ、品質や納期、
コストなどの要素が重視されます。人材サービス業界では、採用支援や人材派遣、教育研修サ
ービスなどを企業に提供し、人材課題の解決をサポートしています。

オフィス関連では、複合機やオフィス家具、ビジネスツールなどの販売、法人向け不動産では、オフィスやテナント、工場用地などの提案が行われています。これらすべてのケースで、顧客企業の状況を深く理解し、最適なソリューションを提案することが成功の鍵となります。

BtoB営業とBtoC営業の違いとは?比較で理解する特徴

BtoB営業とBtoC営業は、対象とする顧客や商談プロセス、必要なスキルセットなど多くの点で異なります。それぞれの特徴を理解することで、より効果的な営業アプローチを選択することができます。以下に両者の主な違いを比較表で示します。

比較項目BtoB営業BtoC営業
取引対象企業・法人個人消費者
意思決定者複数(部門責任者、経営層など)基本的に個人または家族
検討期間長期(数週間〜数ヶ月以上)短期(即日〜数日程度)
取引金額高額(数十万円〜数億円)比較的少額(数千円〜数十万円)
購買判断基準合理性、ROI、業務課題解決感情、好み、利便性
関係性長期的関係構築重視比較的短期的な関係
求められる知識業界知識、専門性、経営視点商品知識、接客スキル

意思決定プロセスの違い

BtoB営業とBtoC営業の最も大きな違いの一つは、意思決定プロセスにあります。BtoB営業では、複数の関係者が意思決定に関わり、稟議や承認プロセスが存在します。 現場担当者、部門管理者、経営層など、様々なステークホルダーへのアプローチが必要となり、それぞれの関心事や優先事項が異なるため、多角的な提案と説得が求められます。

一方BtoC営業では、基本的に個人の判断で購入が決定されます。家族と相談するケースもありますが、意思決定者は限られており、感情や好みに訴える方法が効果的です。即断即決も多く、短期的な営業サイクルとなるケースが一般的です。

求められるスキルと知識の違い

BtoB営業では、顧客企業の業界理解、ビジネスモデルの把握、経営課題の分析など、幅広い知識と専門性が求められます。ヒアリング力、課題発見力、ソリューション提案力、そして長期的な関係構築力が重要です。

対してBtoC営業では、商品知識、接客スキル、クロージング技術がより重視されます。短時間で顧客の関心を引き、購買意欲を高める対人スキルが必要とされ、感情に訴えかける手法も重要です。BtoBに比べて即効性のある成果が求められるケースが多いのも特徴です。

営業手法とアプローチの違い

BtoBの営業手法は、顧客企業の課題解決を起点とした提案型・ソリューション型のアプローチが中心です。顧客のビジネスに貢献する価値提案を行い、ROI(投資対効果)や導入効果の可視化が重視されます。長期的な信頼関係構築のため、導入後のサポートやフォローアップも重要なプロセスとなります。

BtoCの営業手法は、商品の特徴や魅力を伝え、感情に訴えかけるものが中心です。価格やプロモーション、利便性などが購買決定に大きく影響し、大量の見込み客に効率よくアプローチするマス・マーケティング的な手法も多用されます。購入後のフォローは比較的簡素で、次回購入や関連商品の提案などが中心となります。

効果的なBtoB営業の手法・戦略

BtoB営業において成果を上げるためには、適切な営業手法と戦略の選択が不可欠です。ここでは、代表的なBtoB営業手法とその具体的な実施方法、それぞれの効果的な活用シーンについて詳しく解説します。

新規開拓営業の進め方と成功ポイント

新規開拓営業は、これまで取引のなかった企業に対してアプローチし、新たな顧客を獲得する営業活動のことです。成功のカギは、ターゲット企業の選定と初期アプローチの質にあります。まずは自社製品・サービスが価値を提供できる企業をリストアップし、業界や企業規模、事業内容などで優先順位をつけることが重要です。

初期アプローチの方法としては、テレアポイントメント、メール、オンラインセミナー、展示会など複数のチャネルを組み合わせると効果的です。相手企業の課題に焦点を当て、自社の強みや実績をわかりやすく伝えることが大切です。

新規開拓で成功するポイントは、粘り強さと質の高い情報提供です。一度のコンタクトで成約に至ることは稀で、継続的なフォローと信頼構築が必要となります。また、競合との差別化ポイントを明確にし、顧客にとっての具体的なメリットを数値化して提示することも重要です。

既存顧客深耕営業のアプローチ法

既存顧客深耕営業は、すでに取引のある顧客との関係をさらに強化し、取引拡大を図る営業手法です。新規開拓に比べてコストが低く、成約率も高いというメリットがあります。

効果的なアプローチとしては、まず現状の取引状況を分析し、追加提案の機会を探ることから始めます。顧客企業の新たな部門や関連会社への展開、契約のアップグレード、関連サービスの提案などが考えられます。定期的な訪問や情報提供を通じて、顧客のビジネス状況や課題の変化を把握することも重要です。

成功のポイントは、顧客企業の事業戦略を深く理解し、その実現をサポートする姿勢を示すことです。既存の導入効果を可視化し、さらなる改善提案を行うことで、信頼関係を強化できます。また、顧客の声を自社の製品・サービス改善に活かす姿勢も、長期的な関係構築に効果的です。

ソリューション提案型営業の実践法

ソリューション提案型営業は、顧客の課題を深く理解し、その解決策を総合的に提案する営業手法です。単なる製品販売ではなく、顧客のビジネス成果に焦点を当てたアプローチが特徴です。

実践の際は、まず顧客企業の業界動向や事業環境を調査し、潜在的な課題を把握することから始めます。その上で、顧客との対話を通じて真の課題を引き出し、それに対する解決策を自社の製品・サービスを活用して提案します。提案内容は、導入効果や投資対効果を具体的な数値で示すことが重要です。

成功のポイントは、業界知識と課題解決力です。顧客業界の専門知識を持ち、類似事例での成功体験を共有できることが信頼獲得につながります。また、製品機能だけでなく、顧客のビジネスプロセス改善や経営課題解決の視点で提案することが、高い評価を得るカギとなります。

今後のBtoB営業のトレンドと変化

ビジネス環境の変化やテクノロジーの進化により、BtoB営業も大きく変わりつつあります。ここでは、今後のBtoB営業のトレンドと、それに対応するための準備について解説します。

デジタル化による営業プロセスの変革

BtoB営業のデジタル化は急速に進んでおり、従来の対面中心の営業活動からオンラインを活用したハイブリッド型への移行が進んでいます。コロナ禍を経て定着したオンライン商談は、移動時間の削減と商談効率の向上をもたらし、今後も重要な営業チャネルとして活用されるでしょう。また、AIやデ ータ分析技術の発展により、見込み客の獲得や優先順位付け、最適なアプローチ方法の選定などが高度に自動化されつつあります。

こうした変化に対応するためには、デジタルツールの活用スキルを高めるとともに、オンライン上での効果的なコミュニケーション手法を習得することが重要です。また、営業活動のデータを蓄積・分析し、継続的に改善していく体制作りも必要となります。

顧客中心主義の台頭と関係性の変化

今後のBtoB営業では、製品中心から顧客中心の思考へのシフトがさらに進むとも予想されています。顧客は自ら情報収集を行い、比較検討した上で営業担当者に接触するケースが増えており、営業担当者には顧客の業界や事業環境への深い理解と、専門的な知見に基づく価値提供が求められています。

このトレンドに対応するには、自社製品の機能や特徴だけでなく、顧客のビジネス課題や業界動向に関する知識を深め、コンサルティング的なアプローチができる力を身につけることが重要です。また、マーケティング部門との緊密な連携により、顧客の潜在ニーズを早期に把握し、適切なタイミングで価値ある情報を提供できる体制を構築することも必要です。

ABMやカスタマーサクセスの重要性

アカウントベースドマーケティング(ABM)は、特定の有望顧客に対して営業とマーケティングが連携し、カスタマイズされたアプローチを行う手法で、今後さらに重要性が高まると予想されます。また、契約後の顧客育成や成功支援を担当するカスタマーサクセスの役割も拡大しており、顧客のライフタイムバリューを最大化する取り組みが強化されています。

これらのトレンドに対応するためには、営業・マーケティング・カスタマーサクセスの部門連携を強化し、顧客情報や活動履歴を共有する仕組みを整えることが重要です。また、顧客の成功指標(KPI)を明確にし、それを達成するための支援プログラムを体系化することで、継続的な価値提供と関係強化を図ることができます。

まとめ

本記事では、BtoB営業の基本的な特徴から、BtoC営業との違い、効果的な営業手法や戦略、実践ポイントまで幅広く解説しました。BtoB営業は、企業間の取引という特性から、複数の意思決定者へのアプローチや長期的な関係構築が重要です。

新規開拓、既存顧客深耕、ソリューション提案型営業など、様々な営業手法を状況に応じて適切に選択・組み合わせることで、より高い成果を上げることができます。また、デジタルツールの活用による効率化や精度向上も、今後のBtoB営業において不可欠な要素となっています。

今後のBtoB営業は、デジタル化の進展や顧客中心主義の台頭により、さらなる変革が予想されます。こうした変化に柔軟に対応しながら、顧客との信頼関係を構築し、継続的な価値提供を実現することが、BtoB営業成功の鍵となるでしょう。

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